コールドゲーム (新潮文庫)
コールドゲーム (新潮文庫)荻原 浩
あまたあるどうでもいい作品
さくさく読めてそこそこ面白いが、それだけの話。
たぶん明日には読んだことさえ忘れてしまっているだろう。
気になった点が二つ。
ひとつは、いじめられている者をばかにしていないかという点。
もうひとつは、文体に美しさや気高さがなく、読者にこびているようだという点。
いじめを扱った同様のプロットの作品に、折原一の「沈黙の教室」というのがあるが、
「沈黙の教室」のほうがはるかに上。
あれを下敷きに設定を変えただけの印象を受ける。
イジメと報復
イジメられた少年が月日をえて自分をイジメて来たクラスメートに対して報復する小説。
全体としてはまとまった感じでとてもよい感じしました。今も社会問題になってる『イジメ』。やってはいけないのだが、変な集団心理が掛かってしまい、根絶なんて出来るのか考えてしまいます。
イジメられるヒロヨシに対する描写はイジメる側の方が多く、ヒロヨシの心境は後からじわじわと暗く重く伝わってきます。
感想としては、少しばかり主人公やその仲間に対する恐怖や最後の結末の衝撃が弱かったと感じます。イジメを取り上げてる作品にいちいち咎めるのもどうかと思いますけど…。
私は他の萩原浩作品を読んでないので、なんとも言えませんが、この作品はちょっとだけ物足りませんでした。
読みやすい
虐められていた少年の復讐劇です。読み終えた感想は、ほんとあっという間だったという感じです。あんまり難しいトリックも無く、文章も硬くないので、ミステリーは好きじゃない人もスラスラ読めるんじゃないでしょうか?
虐めについても色々考えさせられる作品ですが受け取り方は人それぞれだと思います。虐めていた人、虐められた人、それぞれが何か、思うところはないか考えさせてくれる機会をくれる作品でもあると思います。若い方もぜひ一読してみてください。
コールドゲーム (新潮文庫)
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さよなら、そしてこんにちは
さよなら、そしてこんにちは荻原 浩
ユーモアと切なさの、絶妙なバランス♪
見回せばどこにでもいるような、そんな人たちの日常を描いている。
登場人物の、生きることに一生懸命な姿が、読んでいて心にぐっとくる。
一番印象に残ったのは表題作の「さよなら、そしてこんにちは」だ。
人の死を生業としている男の妻が子供を産む。その「生」と「死」の
コントラストがなんとも言えなかった。短いけれど、心に強く焼きつく
ような話だ。どの話も、ユーモアの中にちょっぴり切ない部分が含まれて
いて、そのバランスが絶妙だった。
ユーモアと悲哀感、“萩原テイスト”あふれる短編集
萩原浩の小説を読むと、いつも笑ってしまうのだが、その中に何か人生の悲哀のようなものを感じる。
本書は、テレビ番組の健康コーナーを日々チェックしながら仕入れに追われる、スーパーの食品売場責任者(「スーパーマンの憂鬱」)。若い妻と愛娘にクリスマス・パーティーをねだられる住職(「長福寺のメリークリスマス」)。など、6編の短編からなっている。
主人公の、それぞれのプロフェッショナルな仕事を持つ人々や主婦はいずれも、世のため、人のため、愛する家族のため、そして自分のために一生懸命奮闘するのだが、思わぬことで翻弄されてしまう。どの短編も題材に沿って綿密な取材がされており、やたらその道に詳しいが、それだけに、主人公たちに悲壮感が漂い、一層コミカルに描かれている気がする。
本書は、「萩原テイスト」あふれる、ユーモアと悲哀感を併せ持つ物語の集まりである。
期待はずれでした。
著者の本を読んだのは初めてです。
新聞の広告で、「日常生活の中の喜びや哀しみが描かれている短編集」という印象を受けて買いました。その種の短編集が好きなので。
読みやすい癖のない文章ですが、全体的に「ものたりない」というのが正直な感想です。
私はネットオークションで800円ぐらいで入手しましたが、それでも「高いな」というのが
読後の印象です。
私が勝手に「しみじみ感」を期待しすぎていたからでしょう。
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ハードボイルド・エッグ (双葉文庫)
ハードボイルド・エッグ (双葉文庫)荻原 浩
面白い! でも不満1箇所
書名から、お硬い感じを受けていたのですが、
どっこい、やっぱり「荻原ワールド」大全開!
切っても切っても、面白さいっぱい。
しかし、
この人の文章って、ホントに面白いね。
文章が切れるというか、なんていうのか?
ものすごくウィットに富んでいる。
さすがはコピーライターだ。
ところが、不満1箇所。
このダイナマイト・ボディー秘書
最後までずーと登場ですから、やはり普通、世間一般の秘書を登場させて欲しかった。
読んでいて非常に辛かった(読んだ方はこの意見に大賛成だと思います)。ホントに。
でも、最後悲しい場面作りましたね。
こういう箇所を作ると、この秘書を許してあげたくもなっちゃうけど・・。
しかし、意外な結末。びっくりしました。
■お薦め度:★★★☆☆(ちょっと辛めに)
憧れのキャラと現実のギャップを楽しもう!
「オロロ畑でつかまえて」「なかよし小鳩組」に続く三作目。登場人物のブットビ気味な会話やしぐさ,クライマックスでの大立ち回り,そしてホロッと泣かせるラストという,荻原作品を構成する要素はしっかり入ってます。
理想の人生を描けないなら,空想の中で自分を演じて生きてしまえばいい。読後にワタシが感じた作者のメッセージはこんな感じ。理想のキャラを演じる快楽と,現実のギャップ。俊平の生活はまさにその通りですが,ラストシーンでもう一つそのギャップを見せ付けられ,ハッとします。
痛快な展開では「神様からひと言」,ミステリという枠では「噂」に近いかな。どちらかを読んで面白かったと思う方にはオススメです。
確かに目じりのしわに注意!
これまた面白い!恥ずかしいけど、電車の中でニヤニヤしながら読んでしまった。
相変わらす、笑いのつぼをつかんでますよねえ。
でも、”人前では読まないで下さい。涙がポロポロ。。”というイントロダクションに構えて読んでいたからか、涙を流すほどではなかった。
これまで読みまくってきた荻原作品の方ががぜん泣かせただけに、ちょっと拍子抜けだったかな。
面白かったけど、ミステリーとしての意外性はあまりなく、オモシロ小説として読んだ方がいいかも。
で、今回は星は三つ半ってとこかな。
ハードボイルド・エッグ (双葉文庫)
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なかよし小鳩組 (集英社文庫)
なかよし小鳩組 (集英社文庫)荻原 浩
プルップ?
いい終わり方だ。
ほろりとするような、胸がしめつけられるような、それでいて、さわかやかな汗に涙がまぎれるような終わり方だ。
だが、その後、どうなったのか、後日談が知りたくなるような終わり方だ。その辺りが不完全燃焼。
小鳩組はさる理由から対外的なイメージ戦略を必要としている。けれども、構成員はそれを苦々しく受け入れがたく感じている。
他方、ユニバーサル広告社としては、なんとしてでもクライアントを満足させないと、世にも恐ろしいことが待っている。
いろんな意味でダメっぷりを極めつつある杉山を主人公に、別れた妻子との関わりを絡めて、物語は進む。
元気いっぱいの早苗ちゃんがなんとも可愛い。離婚後の元夫婦のぎこちなさ、元妻の再婚相手への複雑な気持ち。家族の模様の描写もすぐれている。
ユーモラスだけど、笑い飛ばしきれない、切なさが隠し味。走り出したら止まらない展開から目を離せなくなる。
残念!
ストーリーもキャラもいいが、なんか中途半端。
ちょっと強引に終わらせた感がある。
並みの作家なら及第点あげるけど、荻原さんの中では駄作。
杉山父娘の黄金コンビが絶妙の、笑いあり、感動ありの、素晴らしいエンターテイメント作品
本書は、前作「オロロ畑でつかまえて」で「小説すばる新人賞」を受賞した荻原浩の第2作である。前作も、面白過ぎるほど面白かったのだが、良い意味でのあまりのバカバカしさに、改まってレビューで絶賛するのもはばかるところがあったのだが、笑えて、心にしみる、この「なかよし小鳩組」なら、心置きなく、レビューを書けるというものだ。
この作品は、前作同様、倒産寸前の弱小広告代理店に勤務する杉山をメインに据えた作品であり、前作を読んでいると、すでに前作の段階で、この続編の構想があっただろうことがうかがえる。
冒頭直後から、杉山と、離婚した母親に育てられている7歳になる「男らしい娘」早苗との掛け合いが始まるのだが、さりげないシーンではあるものの、これが、面白いやら、娘を持つ父親の心情が痛いほど伝わってくるやらで、絶妙なのだ。私などは、この父娘だけのストーリーで、最後まで書き上げてもらいたかったと思うくらいなのである。作者に実際にこうした関係の娘がいるのかどうかは知らないが、もし、全くの創作でこうしたシーンを書いているのだとしたら、それだけでも、この人は、本当に凄い作家だと思う。
さて、この物語は、ふとしたきっかけで、指定暴力団小鳩組のCIつまり、「企業イメージ統合戦略」の仕事を請け負うことになってしまったユニバーサル広告社と小鳩組の、個性溢れる登場人物たちが繰り広げるドタバタ喜劇と、杉山と早苗父娘が織り成す人情話を交錯させながら、進んでいく。
小鳩組のCIがらみのエピソードがほとんどの長い中盤では、やや中だるみの気配も感じるのだが、こうした中盤で張られた伏線が一気に花開き、杉山父娘の黄金コンビも復活する後半は、読者を紙面に釘付けにして離さず、まさに高速マラソンペースで、一気にフィナーレまで読ませてしまう。
笑いあり、ジワッとくる感動ありの、素晴らしいエンターテイメント作品だ。
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メリーゴーランド (新潮文庫)
メリーゴーランド (新潮文庫)荻原 浩
地方都市に未来はないのか
基本的には、地方公務員の保身と無責任体質を皮肉ったユーモア作品。でも、自分のできるところを精一杯尽くす中年・啓一のストーリーは熱い。極小劇団主宰の来宮が、強引で傍若無人に、それでも一応助っ人する。
大赤字テーマパークが活性化するところがクライマックス。それなのに結局成功譚にしなかったのは、現実がそんなに都合良く行くはずがないからか。
タイトルのメリーゴーランドは、美しいけどあまりにも寂しい輝きを見せた。
保身の亡者
作品中の言葉を借りて、本書のエッセンスを一言で表すと、「保身の亡者」を描いていると言える。
一部の公務員の、奇妙な世界を舞台にしているが、民間企業にも似た体質が無いとは言えないし、
本作品のクライマックスの、市長選も例外では無かったところは、印象深い。
特に象徴的な点は、このテーマパークの実績が、上がると困る公務員がいるという事だ。
本来、実績が下がると困るのが普通だが、保身に徹すると、こういう理屈も成り立つというのが、面白かった。
ただ、自己の保身に躍起になる、仕事社会の黄昏を迎えつつある人々に、ある程度共感出来ると共に、少々情けなくも感じる。
こんな風に、失笑を買いながらも、保身に徹するというのは、かなり安っぽい価値観だ。
ただ、人それぞれの、生活上その他の事情もあるのだろうが。
著者は時に、サラリーマン社会の醜い部分を、ストレートかつコミカルに描く。
それは、著者の「神様からひと言」などでも同様だった。
後の「明日の記憶」や「千年樹」といった作品は、方向転換を示しているのか?
いずれにせよ、著者が描く世界には、明瞭なテーマがあり、それがダイレクトに描かれている。
十分に堪能出来た。
地方公務員の主人公が第3セクターのテーマパークを立て直すために奮闘する
第3セクターのテーマパークを立て直すために、地方公務員の主人公が奮闘する話である。その姿は、見るのが痛々しい感じがする。この主人公は、強く言えない人だから、劇団の団長や硬直した組織に翻弄されるのだが、なんとかやり遂げるのである。自分が面白いと思ったことをどんどんやらせたほうがうまくいくんだな。やはり、公務員は公僕であるから、できることなら民間の力を借りてやっていくのがいいのだろう。そうすると、コストも安く済むし、企画も面白いものになる。第三セクターのテーマパークで苦しんでいるところなんかは、励みになるのではないか。
最後のほうになると、アテネ村を争点として、市長選挙が行われる。選挙の結果どうなるのか、また主人公はどうなるのかに注目するといいでしょう。
公務員や官僚の人たちって、本書で書かれていることをやっているのかな。足の引っ張り合いというか、そういうことを行うのかな。それだったら、公務員も官僚も政治家ももっと減らしたほうがいい。人件費の無駄だな。
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オロロ畑でつかまえて (集英社文庫)
オロロ畑でつかまえて (集英社文庫)荻原 浩
田舎の話。
村おこしの話です。
登場人物の訛りは印象的です。
これで本当に成功するのか??と思いつつ
あっさり読み終えることができます。
楽しく読めて
軽やかな文章で、笑わせつつほろっとさせつつ、ちょっぴり苦い思いも抱かせつつ・・
みるみるうちに惹き込まれる。はじめは方言がちょっとよみにくいなあと思ったりもしたけど、いつのまにかそんなことも気にならなくて。井上ひさし氏の吉里吉里人をついでに思い出したりして、ふと読みたくなった。
裏庭にゴンベ鳥を探して
不思議なタイトルだ。オロロ豆にヘラチョンペ、ヒアリングにパブリシティ。牛穴村の方言と、業界用語という方言と、どちらも不思議な呪文になる。
日本一のド田舎で、過疎化や高齢化の問題を抱えている村の青年会は、ラテンな気質で村おこしを思い立つ。
どの登場人物も個性的だし、青年会の顔ぶれも、弱小広告社の顔ぶれも、ばかばかしくも一生懸命な姿が愛しい。中でも、株をぐいぐいあげるのは悟だろう。野卑な男に見えるけれども力強く、不器用な分だけ誠実というか純粋というか役得というか。
楽しくて、少しほろり。どたばたした後は、収まるところへ納まっていく。湿っぽくならずに、笑い飛ばす元気な物語だ。現実に配慮して微苦笑するようなたしなみを捨てさせる幸福な迫力があった。
オロロ畑でつかまえて (集英社文庫)
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神様からひと言 (光文社文庫)
神様からひと言 (光文社文庫)荻原 浩
前を向いて歩くということの意味
お客様相談室の仕事はつらい。
僕は新人の頃、キャンペーン事務局やとあるブランド商品のお客様相談室の
オペレーション業務に携わったことがあるので、この小説の舞台はよく理解できる。
「お客様の声は、神様のひと声」、珠川食品の社訓であるこのフレーズは
真実ではあるが、そうではないこともしばしばある。
個人的な過失や失敗が原因で話をするわけではないだけに、
お客様相談室の仕事は並大抵の神経で到底勤まらない。
そして悪意のあるクレームや恐喝の類であれば話は長くなるのだ。
チンピラがキャンペーンの誤植を逆手にとってユスリをかけてくるシーン。
上司・篠崎は訪問ではなく、会社へ来てもらうことで事を有利に運ぼうと画策する。
その手法は鮮やかであるし、神経の図太さがモノを言う方法である。
読んでいる者としては緊張感を感じながらも痛快さを楽しめる場面だった。
余談ではあるが、僕もユスリの体験を受けたことがある。
中年女性であったことから、一人で訪問謝罪に訪問し軟禁された。
僕では金にならんと踏んだのだろう。その場で上司に電話させられた。
隠語のやり取りで上司に状況を伝え、助けを求める。
できる限りの金額で手を売ってもらい、解放されたのだが
このときの体験を考えると今の仕事のピンチなんてどうってことはない。
作者も書いているが、会社や仕事なんかのために死ぬな。
死ぬほどつらいのは、生きている証拠。そうだ苦しいときは永遠には続かない。
もちろん本当に命が懸かってしまうことや経済的な困窮に見舞われることは
絶対にないとはいえない。でも、日本という社会に生きている以上
取り立てて無理をしなくても、少しだけ頑張ってい続ければ
小さないいことだってたくさんあるし、自分も成長していける。
主人公・涼平は僕らのような中途半端な若者の象徴である。
プライドだけが高く、ピンチに弱く、自分の能力を過信する。
僕は自分の半端さ加減を自覚することができた幸運な一人である。
そう、半端者であることを自覚できないことの不幸は
人生の大きな損失である。
サラリーマンの悲哀と成長を感じるために
そして自分の姿を投影させて大切なものへ向き合うために
きっかけをくれる一冊である。
爆笑の中にもリアルな会社という組織
広告代理店で働き、転職している私には、
そのヌルイメーカーの感覚が
とてもリアルに感じられた。
著者の人生の断片がよく感じられる。
主人公と篠崎さんとの微妙な関係。
他にも荻原作品のサラリーマンものでは
一番傑作だと思いました。
中小企業に限らず、一族で組織を支配している
老舗の大企業でもよくある話。
(最近では、某有名料亭、食品メーカーでの偽装問題)
会社員として苦闘している20代から30代には
必読の小説だと思います。
充分ありえる物語。
ユーモアたっぷり
ある食品会社を舞台にした、ユーモアたっぷりの物語。
会議、苦情処理係、リストラ、会社の私物化の実態など、会社社会の中の、眼を伏せたい様な状況が、描かれている。
しかも、ほとんどギャグとも言えるユーモアを交えて、克明に、しかも、生々しく描かれているので、ニヤけてしまう。
主人公は、少々正義感の強い、一介の若手サラリーマンだ。
この主人公は、生きる事に対して、非常に力強い。
会社には、無理にしがみつこうとはしない。
しかし、かつての同棲相手に対しては、未練タラタラだ。
この未練は、女々しいというより、男として、誠実な印象を受ける。
仕事に対しても、女性に対しても、あまりスマートではない。
それでも、情熱と誠意を感じるので、好感を持てる。
そして、クライマックスの、大きな盛り上がりを迎えるのは圧巻!
サラリーマンに勇気を与えてくれる。
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誘拐ラプソディー (双葉文庫)
誘拐ラプソディー (双葉文庫)荻原 浩
ギャグ誘拐
物語は長編ながら、割合一気に読み上げられます。
何故なら、内容と展開の両方がギャグっぽくて、かつ、軽妙だからです。
誘拐自体のちぐはぐさには、笑ってしまいました。
しかし、子供の境遇と教育には、考えさせられるものがあります。
後半は、段々と話が複雑になってきて、奇妙な構図が浮かび上がってきます。
収集がつかなくなってくる感すらありますが、終盤には、物語は、きっちりと収束します。
物語自体に、漫画的なノリを感じました。
暴力団親分などの、設定そのものが、娯楽フィクション的です。
しかし、その「娯楽フィクション性」こそが、真髄だとも、感じます。
いかにも、著者らしいです。
大部分は笑い、時に、しんみりとします。
面白い
一気読みでした。
荻原さんはこういったユーモア溢れる小説の方が
いいなぁ?と思うのは自分だけでしょうか?
借金を抱える伊達秀吉は勤め先の親方を殴って金と車を奪い逃走。
奪った金はすぐに底を尽き、
帰るに帰れない伊達は死のうと思いたつが・・・
いつの間にか車に乗り込んでいた家出少年を
誘拐し、身代金を奪おうと画策するが・・・
誘拐した少年はとんでもない家の子どもだった!!
なんというか
一応犯罪小説なので緊迫感が大切だとは思うんだけど、
なんだか、伊達や誘拐された少年伝助がほんわかしていて
妙な切迫感や緊迫感があまり感じられない。
もちろん伝助の家のものに見つかって、襲われそうになったり
香港系マフィアに襲われたり
緊迫するシーンはあるんだけれど
なぜか、最後にはにんまりしてしまうオチがあって
なかなか本から手を放せませんでした。
成長した伝助が
この伊達との3日間をどう思いながら
過ごして行くのか、
そちらの方にも興味があります。
後日譚なんかでないかな???
笑って、泣いて、胸キュンストーリー
いいですね。
荻原ワールドどっぷり漬かってます、最近。やめられない、止まらない、カッパえびせんのような方ですねえ。
本作品も、伝助(名前がまた笑える!)と伊達秀吉(ふざけた名前だ!)との友情にうるっときちゃいます。
ダメダメ人間の秀吉が伝助との出会いで少しづつ再生していく物語。
いいですよ!超オススメかも。
それにしても、ブックオフとかいくと、”荻原浩”のコーナーがなく、”お”のところにその他のような扱いをされているのが、どうも納得いかないのだ!
誘拐ラプソディー (双葉文庫)
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噂 (新潮文庫)
噂 (新潮文庫)荻原 浩
風評でマーケティング
噂、つまり、風評をテーマにしたミステリー。
展開が大変面白く、まる一日ぶっ通しで読み上げた。
作品のポイントは二つあり、噂というものの質と、犯人の推理だ。
この二つの比重が五分五分という印象で、読者側としても、得をした感覚だ。
真犯人の推理に関しては、かなり迷走させられ、加えて、ラストで、もう一展開ある。
それにしても、風評とは、こんなものだとも思うが、これを専門に扱う会社があるというのが傑作。
風評を、マーケティングの武器にするのは、有効な手段であるが、倫理的には感心しないという、印象を持つ。
著者はミステリー作家ではないが、こんな人間味あふれるミステリーは、味がある。
休日一日全部を費やして、読み切って、微塵の後悔も無い。
最後の1行よりも
香水の新ブランドを売り出すために、渋谷の女子高生の口コミを利用して、ある噂をひろめる。
その噂が現実になってしまい…衝撃の1行で結ばれるのが本書である。
主人公コンビ(この場合はチームか)やその娘の広大な交友関係。事件の根幹に関わる企画会社の社長と黒子。女性の視点や一昔前(?)の渋谷。
少し分厚いが、読むのに難儀することはないだろう。
ほかのレビューにも書かれているが、最後の1行はなんともいえない読後感をもたらす。が読み返すとなるほど道理がつく。
女子高生は髪の色でがらりと変わるものだ。
先入観もたずに読んだほうが良い。
「最後の1行に衝撃!」「大どんでん返しの展開!」「衝撃の真犯人!」のあおりで買ってしまったので構えて読んだ。
確かに意外な犯人だったけど、途中で「このパターンは…もしかしたら」と深読みして読んでいたら、犯人が分かってしまった。
過度な期待をして読まないほうが良い。
人に勧めるときも、気をつけましょう。
噂 (新潮文庫)
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明日の記憶 (光文社文庫)
明日の記憶 (光文社文庫)荻原 浩
チャーリーは元気か?
この本、単行本で出たときに買っていました。
読むのを忘れて、どこかにしまい込んでしまいましたが。
さて、この話を簡単に説明するとどうなるか?
「アルジャーノンに花束を」の後ろの部分をグンと引き延ばし、
知能の低下の理由を若年性アルツハイマーという現実のものとした、
翻案作品である。
というのが、私にとっては一番わかりやすい説明になるだろう。
しかし、私は本書を読んでいて、どうしても違和感を感じてしまう。
配偶者が若年性アルツハイマーにかかった時、最期まで添い遂げることを
決心できる人がいったいどれほどいるのだろうか?
例えば、鬱病の場合であってすら、夫が鬱病にかかったら妻から離婚届けを
突きつけられた、などという話を聞くことがままある。
鬱病ですらそうなのだ、若年性アルツハイマーではどうなのだろう?
あるいは、若年性アルツハイマーであるからこそ、添い遂げようと
決意できるのかもしれない。
あぁ、そうであれば、添い遂げることを決意した人は悲劇のヒーロー/ヒロインだ。さぞ良い気分だろう。
この小説の結末はハッピーエンドだ。
記憶が失われていくという悲劇を題材にしたのだから、ハッピーエンドという
救いがなければ、読者はやりきれないという判断もあるだろう。
だが、現実は、ハッピーエンドとは限らないのだ。
あまりにも切なくて、悲しい。
「第2回本屋大賞」で302点を獲得して、大賞の『夜のピクニック』(374点)に次いで2位になった作品。
また「第18回山本周五郎賞」受賞作でもある。
「若年性アルツハイマー」がテーマの物語。
50歳の主人公佐伯の視点での一人称で語られ、本人の煩悶や、家族など周りの介護者の苦悩といった心理描写はあまり中心におかれず、本人の自覚が無いまま静かに淡々と、しかし着実に病気が進行してゆく様子が切々と綴られてゆく。
それが、かえってなんとも言えず切なくて、「自分の頭の中身をほじくり返すようにして書いた」という萩原浩の筆力に感動を覚える。
アルツハイマー患者の視点で
広告代理店の営業部長が50歳で若年性アルツハイマーに罹患するという話。だんだん記憶が抜け落ちていき,行き慣れた得意先の場所が分からず迷子になったりと,徐々にあり得ない間違いが増え,壊れていく。
アルツハイマーを扱う話は,介護者等周囲の者の視点で書かれるのが普通ではないかと思うが,
この小説は,アルツハイマー患者本人の視点でつづられているのが特徴である。
読者は,主人公が病状の進行に恐怖するのを追体験し,
同時に,「アルジャーノンに花束を」のようにだんだんレベルが低下する主人公の日記や,
主人公が気づいていない病的な記憶の欠落を,第三者の視点からも眺めることになる。
中盤までは,どこまで落ちていくのか怖くて,着地点が見えるまで読むのをやめられない
といった心境。
しかし,終盤の描き方,まとめ方は,なかなか美しい。
現実はこうはいかないだろうし,きれい過ぎる気もするが,
アルツハイマー患者も,何も分からないわけではないし,感情をなくしたわけでもない,
という視点の据え方は,患者とどう向き合うかとか,人間の尊厳とは何かといったことを
改めて考えさせられる。
明日の記憶 (光文社文庫)
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