流転の海 (新潮文庫)

流転の海 (新潮文庫)宮本 輝これぞ大河小説!
この自伝的大河小説「流転の海」は、まだ連載中である。本になっているのは

4巻まで。当初は5巻で終わるはずが、どうもこのままだと7巻ぐらいまで行きそうだ。

第一巻である「流転の海」は、伸仁(宮本輝)が生まれた昭和22年から始まる。

父である熊吾は、個性の固まりのような男だ。

決して学はないのに、はっとするようなことを口にする。

宮本文学の真骨頂である「警句」にあふれた文章に、私は何度もうなった。

たしかに熱心な創価学会員である宮本輝の文学は、

意地悪な味方をすれば「創価学会思想のプロパガンダ」だと言えなくもない。

しかし、共産主義には共産主義の文学があり、キリスト教にはキリスト教の文学がある。

私は公明党も創価学会も好きではないが、

そういう好き嫌いを超越したものが、宮本文学にはあると思う。

第二巻以降、熊吾は幼い伸仁に、いろいろと語りかける。

それはある時は掛け合い漫才のようでもあるが、

人間の本質をズバリと突いた言葉に、雑音抜きでうなずいてしまう。

人間の生き様を考えさせられる好著である。

日本人全ての親必読
熊吾の親。熊吾の子。人として大切なこと。親として大切なこと。本当に大切だったことを、全ての日本人の血の記憶の中に甦らせて欲しい。親を想いながら子が、子を想いながら親が読むべき国民課題図書。

NO.1!
宮本輝さんの作品はたくさん読みましたが、私にとってはNO.1の作品です!

人物描写がとてもしっかりしているので、物語の中に引き込まれます。

熊吾はもちろん、熊吾を取り巻く周囲の人間も個性的で魅力的な人たちばかり。

続編が楽しみです。
流転の海 (新潮文庫)

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血脈の火―流転の海〈第3部〉 (新潮文庫)

血脈の火―流転の海〈第3部〉 (新潮文庫)宮本 輝子供の成長を通した親の姿を見る
再び大阪に戻って商売をはじめる主人公。

いろいろな事業に手を出し、次から次へと成功していく。

人間関係の様々な問題を彼流にかたしながら。

そんな人間模様と事業の拡大していくのはおもいろい。

この物語の最大のポイントは子供だ。

1部2部では存在だけが重要だった子供が、

この3部では主人公にとってかわらんばかりに、

縦横無尽に何かをやらかしたりする。

そこに子供を通して見えてくる自分の姿を、

これからの人生を主人公が考えさせられるのがよかった。

物語がどんどん深みにはまって・・・
熊吾が大阪に戻ってきている場面からのスタートです。
1・2部とスーパーマン的な力を発揮してきた熊吾ですが、この巻ではその力がうまく働いておりません。手をつける事業はほぼ失敗に終わります。それとリンクするかのように妻・房江の視点からの語り口が非常に多くなります。
巻末のあたりで起こる事故にも熊吾はやや不運な巻き込まれ方をします。
ほぼ熊吾の物語であった『流転の海』は房江や伸仁などの多彩な視点を伴って、どんどんと深化しています。ああ!早く第4部を買いに行かないと。

父と息子
3冊目もあいかわらず中毒性の強い小説であった。一度本を開いてしまうと、ページから目が離せなくなってしまうのだ。息子の伸仁は小学校に入学するようになる。そうするとバイタリティ溢れるすごい親父・熊吾と言葉によるコミュニケーションが成立するのだが、これがまた破天荒だけれどやたらめったら面白い。端から見ると信じられないような息子との接し方なのだが、熊吾ならやりかねない、いや、いかにもやりそうだ、と妙に深く納得してしまうのである。脇役に過ぎない登場人物たちもくっきりと鮮やかに描かれており興味が尽きない。心の底から「小説ってほんとうに面白いよな」と思わせるシリーズである。
血脈の火―流転の海〈第3部〉 (新潮文庫)

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魂がふるえるとき―心に残る物語 日本文学秀作選 (文春文庫)

魂がふるえるとき―心に残る物語 日本文学秀作選 (文春文庫)時代は変わっていたんだな・・・
本書に収録されている小説と近代文学との質の違いには驚嘆しました。

それはまさしく質の違いとしか表現できないもので、それまで一通りしかないと思っていた感性、情緒というものが本書を読み終えた後100通りも200通りもあるような気がしました。

近代文学と比べ、具体的な違いを述べろといわれればそれは難しいことなのですが、個人的には余韻の残し方に圧倒的差があると思いました。

蛍の光が、ある時、ふっと消える、もしくは、何かが一斉に芽吹く、大体小説というのは失礼ながらそのようなものだろう、と思っておりました。

しかし・・・うまく表現できない・・・他の要素が・・・絡み合い絡み合い、最後を締めくくっているのだと思い知らされました。

私は中でも川端康成の「片腕」がお気に入りで、超現実世界での話なのですが、今ではもう書かれる事の無い美しい世界観、男性と女性世界の極地を垣間見れた気さえします。

ここまでレビューを書かせていただきながら、絶対他人には知られたくない、秘蔵の書にしておきたい、という気持ちさえ沸いております。まさしく、これこそ名作集なのでしょう。

一冊でいくつも楽しめる
自分ではおそらく選ぶ機会もなかったと思われる作家の名編を

いくつも読むことができました。、

ここに収録されている作品を、ひとつひとつ探して読むとしたら

知識のない自分の場合は、おそらくたどりつくまでに

けっこうな時間がかかるような気がしました。

こうして選集として一冊にまとめられているというのはうれしい。

最初に収録されている、開高健の「玉、砕ける」に特に圧倒されました。

感じ取る
宮本輝氏による秀作選。
永井荷風、川端康成、国木田独歩。泉鏡花、幸田露伴、水上勉・・・。名だたる文豪が名を連ねている。
文章には匂いがあるということを痛烈に感じさせる。
現代小説しか読んでこなかった身にはおおげさではなく衝撃だった。
<小説には百人百様の読み方があり、またそうであるべきなので、ここに収めさせて頂いた小説に初めて出会う読者の真っ白な心にゆだねたい>とは宮本氏のあとがきである。
時代背景など、なじみのないものもあるだろう。難解なものもあるかもしれない。しかし、“何か”を感じるはずである。それは一体何なのか?
その正体をすぐに理解しようと急ぐことはない。いつか腑に落ちるときがくるかもしれない。いつまでたってもぼんやりとしたままかもしれない。しかし、あなたの心に残っている限り、いつでも取り出して確かめることができる。
そんな「本の読み方」を思い出させてくれる一冊。
魂がふるえるとき―心に残る物語 日本文学秀作選 (文春文庫)

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命の器 (講談社文庫)

命の器 (講談社文庫)宮本 輝似たもの夫婦
もともと宮本輝さんの小説が好きでよく読むのですが、これはエッセイなのでどうかなぁと思いつつ読みました。

実際に読んでみると、彼の小説でもいつもそうですが、はっと気付かされるような言葉がところどころにちらばっていて、薄手の本ながら、考えさせられる一冊でした。

子犬のお話はちょっと可哀相で思わず小さく悲鳴をあげてしまいましたが、似たものカップルのお話などよかったです。

命の器 (講談社文庫)

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胸の香り■

胸の香り宮本 輝余韻の残る、大人の味わい
宮本輝らしい、香り立つ作品集。
こたえを出すことの難しい様々な恋愛が描かれている。不倫と妊娠、出生の秘密・・・人生の影の部分を仄かに照らす、こころの物語。
『月に浮かぶ』では、名月の夜に洋上で不倫相手の深刻な告白をうけて“私”がつぶやく。「僕には、海に映っている月のほうが本物に見えるよ」・・・。
善悪では割り切れない、男と女の恋愛・性愛のどうしようもない部分が描かれていて、余韻の残る短編集だ。

濃縮された短編集
この『胸の香り』には、濃密な七つの短編が収められている。
「あとがき」によれば、「二、三の作品を除いて、ほとんどは四百字詰原稿用紙で三十枚あるかないか」の小説であるけれども、いずれも味わい深く、余韻の残る作品ばかりである。
これらの小説の中で、私個人としては「道に舞う」が好きだ。「好き」というよりむしろ、この作品を読んでいて子どもの頃の切ない記憶が蘇ってしまった。生きることの辛さ、切なさ…。普段は心の奥底に眠っているそういったものに対する感情が、一気に噴き出たのであろうか。さらにこの作品は、不思議と高史明さんの『生きることの意味』をも彷彿とさせた。
何はともあれ、七編すべて実に巧みなプロットと筆遣いである。

濃厚です。
本は薄いですが、中身は濃厚な短編集。特に『舟を焼く』は少ないページによくぞと、ため息が出るぐらい読み応え充分です。旅館を営む若い夫婦と焼かれる舟のエピソードを聞くにつれ互いに自分の心を顧み、やがて気持ちの整理をつけます。舟に運命を重ね合わせる様が絶妙です。
胸の香り
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宮本輝全短篇 上■

宮本輝全短篇 上宮本 輝全短篇の結晶&昇華が「流転の海」シリーズだ!
今回初めて全ての短篇を通読してみて驚いたのは、その殆どの作品が「流転の海」の世界を彷彿とさせる私小説風のものであったことだ。また作家生活30年の中で上梓された短篇が39篇というのが意外に少ない気がした。もっとたくさん短篇を読みたいけれど、「流転の海」シリーズの第五部の方がさらに待ち遠しいかも知れない。思い起こせば処女作「泥の海」からそうだったけれど、これほど多くの作品に「死」が満ち溢れているとは思わなかった。父親の圧倒的な人物像、その息子である少年の愛らしさに目を奪われがちになるが、母を描いた作品に印象深いものを感じた。女性の一人称で描かれた唯一の作品「幻の光」が一番心に深い足音を残したような気がする。そして何度読み返しても「蛍川」のラストシーンの美しさには息を呑む。「私は宮本輝の長篇小説よりも短篇小説の方が好きだ」という思いがより明瞭になった。
宮本輝全短篇 上
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川三部作 泥の河・螢川・道頓堀川 (ちくま文庫)

川三部作 泥の河・螢川・道頓堀川 (ちくま文庫)宮本 輝貧しさと人間の正直さや純粋さ
宮本輝の川三部作が一冊で読める。

幻想的で物悲しく、どこか遠景の水彩画のように淡い「蛍川」。

少年の友情と人生の悲哀を軽いユーモアを交え、ノスタルジックに描いた「泥の川」。

若さと情熱、そして恋愛を美しく描いた「道頓堀川」。

川三部作に共通しているのは、貧しさの中でも揺るがない高貴な人間性である。この三作では人間の正直さや純粋さを真正面から描いた。80年代の初めに、観念的でもシニカルでもなく、純文学的なテーマをエンターテイメントとして成立させた希有な作家だった。同時期にデビューした村上春樹、龍との比較で言えば、その主題の確かさが宮本輝の魅力だと思う。

「青が散る」で宮本輝は最初のピークを迎えるが、その前段にこの川三部作がある。

大エンターテイメント作家となる前の宮本輝の初々しさをぜひ味わってほしい。

宮本作品の原点があるはずだ。

切ない。それが幻のように心に浮かび、消える。
宮本輝のデビュー作。彼の繊細な感性は、梶井基次郎に通じるところがあると思う。壊れそうな薄弱な視線で、今揺れ動き、刹那に消える情景を捉え、描く。只の作家にできることではなく、今の村上春樹から抜け出せぬ文豪連中には、到底及びも着かぬ。
 舞台も主人公も違い、ただ近くに川があるというだけで3部作とはチャンチャラおかしいと初めて読んだ時には思う。が、あなたは、この作品の底辺に、憂いににた悲しみが広く淡く、存在していることを気づくでしょう。  短編小説の儚さを存分にもつ、名作。
川三部作 泥の河・螢川・道頓堀川 (ちくま文庫)

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花の回廊―流転の海第五部

花の回廊―流転の海第五部宮本 輝伸仁の成長、熊吾のこれからが楽しみ♪
待ちに待った第5部。この作品では、熊吾は無一文だ。房江は毎日

いやな思いをしながら小料理屋で働いている。熊吾の妹タネに預け

られた伸仁は、そこに暮らす人たちの貧しさを肌で感じている。

貧しさは同じでも、生きていく方法は人さまざまだ。そういう人たちを

見ながら生活する伸仁は、たくましくそして心の優しい少年になって

いく。彼の成長を読み続けられるのはとてもうれしい。一方で、熊吾の

事業はどうなるのか?伸仁をとり巻く人たちのこれからは?気がかりな

こともたくさんある。第5部の終わり方は消化不良という感じだ。この

続きを当分読めないのはとても残念だし、体に悪い(笑)。作者に、

できるだけ早く第6部を書き上げてくれるように頼みたい。

小説に思想はつきものでしょ?
あとがきを読んで、驚きました。

このシリーズを執筆して、もう25年になるんですね。

学会云々と評されることについて一言。

私は関係者ではありませんが、

仮に、小説がプロパガンダであったとしても、

そこを非難することに疑問を感じます。

いつの時代も、思想が加わってこそ、小説は深みを増すのです。

ケータイ小説に代表されるような、薄い内容より、

思想が詰まった小説を大切に読んでいきたいですね。

『青が散る』を連想してしまう伸仁の姿
あまりにも第4部から時間を要しているので、最初はこの流転の海の世界に戻るのに時間を要した。

松坂熊吾がほとんど一文無しになって尼崎市でどう生きていくのか、貧乏の巣窟と熊吾に言わせた蘭月ビルで伸仁を育てることなる第5部は、この作品から宮本輝『青が散る』への流れが目に浮かぶものだった。伸仁がやがて大学生になったとき、『青が散る』に出てきたように房江は再び住込みで働かざるを得ない状況になるのだなとか、この蘭月ビルの人間模様が伸仁に染みついて泥臭い人間関係を結ぶタイプになったんだなとかを繋げて連想してしまうのだ。もちろん『青が散る』は流転の海ではないし、登場人物の名前も違う。が、人間の根っこの部分、熊吾がこの本で言葉や態度で示すような宿命にあらがいながらも人徳がつきまとう熊吾と、この本に出てくる幼い伸仁が成長した様として『青が散る』をつい連想してしまうのは読者の醍醐味というものかもしれない。となると、そういう愉しみを味わえるこのシリーズは何はともあれ傑作というべきかもしれない。
花の回廊―流転の海第五部

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錦繍 (新潮文庫)

錦繍 (新潮文庫)宮本 輝過去から未来へ・・
“業”という言葉の意味について考えされられました。

「あの時もし・・」と過去を恨むより、

自分の業と割り切って、未来へ目を向けることの

大切さを感じました。

過去に深い関係を持った男女が偶然再会し、

ただ手紙のやり取りだけですべてが物語られていきます。

二人の男女の手紙のことばだけで、すべてが語られ、

現在、夫婦でなくとも、愛情というものは

いろいろな形となり、決して二度と交わることが

ないとしても、お互いの幸せを思い合えるような

そんな関係も存在するのだな、と思いました。

少し哲学的な物思いにもふけってしまいそうな、

とても濃い内容の作品でした。

こんな本を書く小説家になりたい。
近年の作品では珍しく書簡体の作品である。

ある出来事をきっかけに離婚した二人は手紙のやり取りをする。当時は語れなかった気持ちを手紙にたくしお互いの思いを伝える。決してきれいな話ではないがそのどろどろした愛憎劇に何故か気持ちのいいものを感じた。それは生きる二人を描いているからであろうか。

宮本輝の作品では最も好きな作品です。こういった作品を創り上げるところに作家としての力量を感じます。

5年に一度くらい読み返したい本
大学の授業の題材でした。命についてがテーマで選ばれた本だったと記憶しています。

主人公の男は、事業に失敗して女のアパートにもぐりこんでいるような負け組の典型みたいだし、ヒロインはワガママな会社令嬢、この二人のかつての結婚生活の破綻について、じっくり描かれていますが、はっきりいってつまらなそうな夫婦の物語なのにどうしてこんなに引き込まれるんだろうと不思議に思います。

大きな会社の令嬢と恋愛結婚し、社長の後継者として生きてきた男が、婚外恋愛の果てに無理心中未遂に巻き込まれ、すべてを失う。また妻のほうも一度目の結婚に破れたあと、再婚するも、生まれてきた子が知的障害を負っており、夫の心は自分にはない。

そんな物語なのに、読後感はさわやかで、後味よく終わります。

いろんなことがあるけれど、それでも生きていこうと思える本です。
錦繍 (新潮文庫)

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